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東京都教育の日 教育フォーラム

報告 


 1 プログラム
 2 主催者からのあいさつ ~本フォーラムの開催にあたって~
 3 基調講演 後半
 4 パネルディスカッション 登壇者紹介


   フォーラムの全体概要は「みんなの生涯学習 No79」に掲載しています。
   
    開催案内(PDF版)はこちら   
        

1 プログラム



 1時30分







 1時50分


 2時50分
 3時05分




 3時25分





 5時

開会
挨拶 中村正彦 東京都教育委員会教育長
 「東京都教育の日」ポスターコンクール 最優秀賞表彰式
  渡邊 樹さん(府中市立住吉小学校6年) 
  下田 有利さん(台東区立御徒町台東中学校2年) 
  青木 恵梨さん(都立荒川商業高等学校3年) 
  最勝寺 啓太さん(都立石神井養護学校高等部2年) 
基調講演 『企業界と教育界の連携で、次代を担う子どもを育てる』   
  遠藤 勝裕氏 「地域教育推進ネットワーク 東京都協議会」副会長
  経済同友会「学校と企業・経営者の交流活動推進委員会」委員長 
休憩
事例報告 『世田谷版地域教育基盤(プラットフォーム)について』
  水戸 都紀子氏(世田谷区教育委員会事務局生涯学習・地域・学校連携担当部長)
  望月 明夫氏(世田谷区教育委員会事務局生涯学習・スポーツ課社会教育担当係長、
         社会教育主事)
  平山 順造氏(世田谷区立北沢小学校副校長)
パネルディスカッション『地域教育力を再構築するための“協働”のあり方』
  生重 幸恵氏(NPO法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長)
  倉橋 保惠氏(杉並区立大宮中学校長)
  坂井 康宣氏(小平市教育委員会教育長)
  若井田 正文氏(世田谷区教育委員会教育長)
 コーディネーター 村上 徹也氏(社団法人日本青年奉仕協会調査研究員)
閉会

 

2 主催者からのあいさつ  ~本フォーラムの開催にあたって~


主催者挨拶 本日は、教育フォーラム「学校と地域・家庭の連携を進めるために」にご参加いただき、誠にありがとうございます。

 21世紀を迎え、従来型の制度やしくみを抜本的に見直し、新たな社会システムの構築をめざす構造改革の動きが本格化しています。特に教育の分野での改革の必要性が強く指摘され、平成12年12月の教育改革国民会議報告以降、教育改革のスピードは速まるばかりです。

 そのような中で、私たちは次代を担う子どもたちの育成にどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。「画一的な教育ではなく、子どもたちの個性や能力に応じた多様な教育が必要だ」という問題意識は共有できても、実践レベルでは「これが正解だ」と共通認識を見出せずに、混沌とした状況のまま各地域や学校で教育活動が展開されているというのが実状ではないでしょうか。

 この閉塞的状況を打開するための一つの試みとして、今年度から東京都教育委員会では「地域教育プラットフォーム」づくりの取組をはじめています。〝プラットフォーム(platform)〟は、「土台、基盤」という意味をもっている言葉です。地域教育プラットフォームは、保護者や教員、青少年教育指導者をはじめ、地域社会において子どもたちの教育に関わるすべての人々が子どもの育成について教育観を共有し(共通基盤づくり)、その下に学校・家庭・地域が各々の役割を自覚して教育活動を展開していくためのしくみづくりを目指しています。換言すれば、「学校・家庭・地域の協働による新たな地域教育システムを構築する」ということになります。この新たな試みのパートナーを引き受けてくれたのが、今回の企画にご協力いただいた世田谷区教育委員会をはじめ、新宿区、杉並区、小平市の各教育委員会の皆様方です。

 「地域教育プラットフォーム」づくりにおいて私たちが最も重視しているのは、それぞれの地域の特性を活かした、その地域ならではの教育実践を自ら創造していくことにあります。その地域の子どもたちに「どのような力をつけてもらいたいのか」、「どのような大人に育って欲しいのか」について、〝学校任せ〟、〝親任せ〟にするのではなく、子どもの教育に関わるすべての人たちが、主体的に行動していくことこそが大切です。そのことを通じて新たな教育のスタイルを生み出すことができるのでしょうか。

 今回の教育フォーラムは、そのような〝想い〟をもって企画しました。今日をきっかけに地域教育推進のネットワークをさらに広げていきたいと考えています。


                                   平成17年11月13日 
                                     東京都教育庁生涯学習スポーツ部 



3 基調講演後半

 基調講演の後半では、遠藤氏が阪神大震災を経験されていることから、「大災害時における学校の役割―阪神大震災の経験から」と題して話していただきました。要約して掲載いたします。
基調講演後半
 私は1995年1月17日、阪神大震災の時、神戸支店長の職にありました。神戸の灘区の社宅で震災にあい、ベッドから吹っ飛ばされて畳の上を転がりまわり、あわや全壊という中で生きのびてきました。当日、1月17日の午前9時から、日本銀行の神戸支店は平常どおり、命がけで業務を遂行しました。以来1996年の3月まで神戸で勤務しました。震災当日から復興に携わってきた中で、学校の現場もたくさんみてきました。地域防災という観点からみた学校の役割についてお話します。

1 学校は地域の避難所
 阪神大震災の時に、指定避難所は1153箇所、そのうち70%が学校及び関係施設です。割合として公立学校は38.3%でしたが、非常にスペースがあるので、圧倒的に人数は公立学校に集まります。ピーク時の避難者31万人のうち、約6割が公立学校におりました。
 校長、教職員が管理・運営にあたったわけですが、実際に教職員が行なった活動は、「場所の割り当て、避難者名簿の作成、遺体の安置と搬送、外部からの問合せの対応、苦情や要望の受付と対応、情報の処理と提供、支援物資の受付、物資の維持管理、ゴミの処理、トイレの掃除、炊き出し、喧嘩の仲裁、警備、医療活動の補助、ボランティアの世話、報道機関の対応」などが記録されています。このような作業を先生方は一生懸命になさった。しかし、これを教職員に任しておけばよいということではないという震災の教訓があります。教職員から県に2年後に出された要望の中に、地域住民と学校長と自治体、この三者が常に協議をして避難所の運営をする体制をつくってほしい。そして教職員に依存するのは、専任職員の配置や自治組織ができるまでの1週間が限度とも書いてあります。

2 震災体験からの教訓
 震災体験は無数の教訓を残しましたが、地域と教育という観点から次の3つのことを教訓として申し上げます。
(1) マニュアルと訓練の重要性
 震災対応で公的な100の仕事をしたとすると、マニュアルに沿って仕事をしたのは約40です。日本銀行は明治18年の創業開始以来、歴史の中で様々な災害にあっていますので、かなりのマニュアルがあります。しかし、そのマニュアルの中にもないことが起こりました。しかし、マニュアルをしっかり頭の中に入れて、それに基づく訓練を日頃していたからこそ、これはマニュアルにはない、けれどもこちらの応用でできるな、というように、マニュアル外の事に対応できるのです。
(2) 当事者は被災者
 震災時、日本銀行の神戸支店には118名の職員がおりました。そのうち70名が地元の人でしたが、そのうち50世帯が全半壊です。家が全半壊している中で、日本銀行の仕事をしないと経済活動が止まってしまう。学校の教職員も、自分の家が壊れている、家族がケガをしているケースがたくさんでてきます。本業は教育者、そして避難所の責任者・運営者でもある。葛藤にさいなまれることになります。これは本当に辛いことです。
 また、児童生徒の中で、震災遺児として残された子どもたちのケアという仕事もでてきます。阪神大震災では、親を亡くした子どもたちが580人おりました。
(3) 組織のリーダーの心構え 4つの仕事
 まず、自らの命を守ること。交渉するなど、校長しかできないことがあります。そして、職員と家族の命をまもること。その上で、職務を遂行し、取引先等の周辺への支援も行なう。この4つを同時並行して行なわなければならない。全てが重要ですが、難しいのはバランスのとり方です。震災から1か月位たって、本店から何か必要なものはないかと聞かれたので、「精神科の医者をよこしてくれ」と頼み、118人の職員全員がカウンセリングを受けました。長い人で2時間はかかりますので、3日では終わりませんでした。精神的な消耗が、学校現場でも必ず起こってきます。何かあったときに子どもたちの心のケアといわれますが、教職員の心もケアも大切になってくると思います。

3 学校リーダーへのインプリケーション
(1) 災害時の役割の自覚
 非常時に学校に行ったときに、どこに鍵があるか、だれが持っているかなどを日頃から意識していますか。一人一人の教職員に徹底されていますか。訓練は行なわれているでしょうが、その訓練は阪神大震災などを教訓とした内容になっているでしょうか。
(2) 災害の現実の認識 -「人と防災未来センター」
 神戸にある「人と防災未来センター」には、多くの子どもたちが来て、災害体験と何をしなければいけないのかの勉強をしています。子どもたちの地域は、近畿と東海北陸で7割以上です。ぜひ、東京をはじめとして全国からセンターに学びに来てください。
(3) 地域と共同した防災訓練の必要性 -地域リーダーとの交流
 地域と学校長と自治体が一緒に避難所を運営していくためには、日頃から地域のリーダーと交流していくことが必要です。平時からの子どもの安全という観点からの見守りもありますが、学校が避難所になるケースが多いですから、地域のリーダーと日頃からよい関係をもっていく必要があります。
(4) 2次災害の心構えと対応 -教育現場の崩壊(ソフト、ハード両面)
 学校が壊れたり、避難所になってしまい教育現場がなくなってしまう。そして教育のカリキュラムや先生方の連帯など、教育を原点とした方策が壊れてしまう。それを一つ一つ戻していくには、膨大なエネルギーが必要です。経済的な側面から1次災害は天災であり防御不能、2次災害は人災であり防御可能と提言してきましたが、教育の現場でも同じではないでしょうか。知恵と工夫と熱意と、そしてもちろんお金も必要ですが、その心構えと対応を考えておかないと、防げたものを防がなかったということになるのではと思います。



4 パネルディスカッション 登壇者紹介

パネルディスカッション


 
生重幸恵(いくしげ ゆきえ)氏
 理事長を務めるNPO法人スクール・アドバイス・ネットワークは、総合的な学習の時間、及び学校週五日制の実施にともなう事業がスムーズに実施できるよう、公立小・中学校に協力者をコーディネートするとともに、教育活動、地域活動の充実をはかる人材を養育する事業を行い、社会教育に寄与することを目的として活動している。杉並区の子ども居場所づくりコーディネーター、杉並区学校教育コーディネーター、東京都生涯学習審議会委員を務める。

 スクール・アドバイス・ネットワークHP http://school-advice.net/



 
倉橋 保惠(くらはし やすえ)氏
 昨年4月、新人校長として、文京区から杉並区に着任しました。最近のメッセージから・・「学校の主人公は、生徒たちです。そのためには、生徒の良さや力を発見し、伸ばすのは日々触れ合う先生です。生徒たちを指導する先生方が、生徒とともにあり、充実した仕事ができる学校あり、保護者や地域の方、大宮中を応援してくれる外部の方たちといっしょにつくる学校でありたいと思います。」
 (教諭)文京区、江東区、田無市、練馬区 (教頭)文京区

 大宮中学校HP http://omiyajh.sakura.ne.jp/index.html



 
坂井 康宣(さかい やすのり)氏
 平成8年度、東京都公立小学校長を経て小平市教育委員会・学校教育部理事に就任。平成10年度までの3年間、学校現場の正常化と教育改革に向けた教育施策の企画、改革プランを手がける。平成12年10月東京都小平市教育委員会教育長就任。平成13年4月、「21☆小平の教育改革アクションプラン」を策定・公表し、家庭・学校・地域の連携の下、小平の教育改革を進める。平成14・15年度東京都多摩地区教育推進委員会委員長、東京都生涯学習審議会委員。

 小平市教育委員会HP http://www.kodaira.ed.jp/



 
若井田 正文(わかいだ まさぶみ)氏
 東京都立高校の教員を18年務めた後、東京都教育庁指導部指導主事、世田谷区教育委員会事務局指導主事、東京都教育庁指導部統括指導主事、世田谷区教育委員会事務局教育指導課長を経て、平成16年4月1日より現職。

 世田谷区教育委員会HP http://www.city.setagaya.tokyo.jp/kodomo/index.html



 
村上 徹也(むらかみ てつや)氏
 日本青年奉仕協会 (JYVA) 職員としてボランティア学習関連事業を担当。
 02年から2年間、全米ボランティアセンター「ポインツ・オブ・ライト財団」にてサービスラーニングの研究を行い帰国。その後、市民社会コンサルタントとして独立。

 

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